「えーっと鍵は…」

ポケットの中を探り鍵を取り出す。
カチャリと鍵をあけドアを開くと、音を聞き付けたのか、賢い愛犬が玄関に座っていた。

「ただいま、ラピード」
「ワウッ」

ぽんっ、と頭に手を乗せて言うと気持ちのいい返事が帰ってくる。

「ラピード、みやげだ」

カバンから帰りに買った犬用ジャーキーをラピードにだしてやったところで昼間にもらったDVDが目についた。

「…一応見てみっか」

DVDをプレーヤーにセットし再生ボタンを押す。
映し出された映像はあの男のいままで手掛けた作品だろう。

「…」

適当に流し見るつもりだったが、おもわず引き込まれ無言になってしまった。
そんな主人を邪魔しないようにラピードは少し離れてお行儀よくジャーキーを食べていた。

「…まだ大丈夫かな」

映像が終わり、時計を見た。
まだそれほど遅い時間でないことを確認し、マネージャーに電話をかける。

「あの、次の曲のPVのことなんだけど…………そう。それで確認してくれねぇか?ん、サンキュ。じゃ、明日」

電話を切りソファーに深く座りなおしてラピードに目をやった。

「見かけで人を判断しちゃいけねぇな、ラピード」
「ワウ?」


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