アレシュ前提ユリレイ。
裏じゃないけど行為をほのめかしてるので注意。
暗い。





「アレ…」

夢から覚めると、目に飛び込んできたのは若い恋人の顔だった。

「おっさん、気が付いたか?」
「ん、あ…おっさん落ちてた…?」

若い彼の欲につきあっていつの間にか気を失っていたようだ。
なのに、彼に抱かれた後だというのに、意識が戻る瞬間に口から出たのはあの人の名前。
顔を覗き込んでいるこの状態で聞こえなかったはずはないだろうに、何も言わず彼は俺の髪を撫でる。
シャワーを浴びてきたのだろう髪からしずくが落ちた。

「んっ」
「あ、わりぃ」

彼は体を離し首にかけていたタオルでガシガシと髪を拭きはじめた。
首だけそちらに向けてその様子を見つめた。

年が違う。

癖が違う。

何もかも違う。

そんなの当たり前なのになぜ比べてしまうのか。
それほどに俺はまだあの人に縛られているのか。

「おっさん動けんだったらシャワーいってこいよ」
「あ、うん」

まだ、少し痛む体をゆっくり起こす。
その辺に落ちてた羽織を軽く引っ掛けてバスルームに足を向けた。

「ごめんね」
「ん? ああ。謝んなよ」

バスルームの扉の前で立ち止まり、背を向けたまま謝罪の言葉を告げた。
何に対しての謝罪かは言わなかったが、頭のいい彼はすぐに察してくれたようだ。

「ねぇ、ユーリ。待っててくれる?」

あの人のことを忘れるまで。
彼は優しいから否定なんてしないのは分かってたけど、ききたかった。

「あんま気の長い方じゃねぇけど…待つよ。レイヴンのこと、好きだから」
「ありがと」

優しい言葉はうれしくて、でも同時に胸が痛んだ。


あとがき