フレンは会話の邪魔をしないように空を見てぼーっとしていたが、電話を切った様子でもないのに会話が途切れたのが気になって、空に向けていた視線を隣に移せば、レイヴンが真っ赤になって固まっていた。
「レ、レイヴン…さん?」
フレンが声をかけても反応がない。
人の携帯を取り上げて話をするなど失礼だとは思ったが、これは相手を問い質さなければいけないと思い、固まっているレイヴンの手から慎重に携帯を外した。
「失礼します」
『あれ?おっさーん?もしもし?』
「ユーリ!君はレイヴンさんに何を言ったんだい!?レイヴンさんが固まってしまったじゃないか!」
『え、フレン!?いたのか!?ってか今の聞いてたのか!?』
「聞いてないから何を言ったか訊いているんだろう!」
『あーいやー…まあ、なんて言うか……わりぃ、後フォロー頼むわ。じゃっ」
「あ!ユーリちょっとま…はぁ…大丈夫ですかレイヴンさん?」
「あ、うん、フレン、ちゃん…」
多少は落ち着いたのか今度はぎこちないながらも返事が返ってきた。
「すいません、勝手に携帯をとってしまって…」
「まあ、別に、相手ユーリだったから、フレンちゃん、なら」
レイヴンはフレンが丁寧に両手で差し出してくる携帯を受け取って、一応切れていることを確認してポケットにしまった。
「ユーリに何か変なこと言われたんですか?」
「え?いやいやたいしたことじゃないんだけど!おっさんが勝手に驚いただけっていうか…ユーリなんか言ってた?」
「特には…後のフォローを頼む。とは言われましたが…」
会話の内容も分からないのに、いったい何をどうフォローすればいいのかフレンにはさっぱりだが。
「そう…ごめんねなんか驚かせちゃって」
「いえ…あ、もう戻らないと」
ふと思い出して時計を見れば昼休み終了5分前であった。
真面目なフレンならいつもはもう席に着いている時間だ。
「あー…フレンちゃん先戻ってて」
「……では、また後で」
すぐに戻らないと就業時間に間に合わないのではと思ったが、なんとなく「ちょっと一人にして」という空気を感じ取ってフレンはそのまま屋上を後にした。
「ふぅー」
一人になったレイヴンは気持ちを落ち着かせようと深呼吸をした。
明日になればユーリが帰ってくる。
電話であれだけ思い詰めた様子だったのだ。
実際会えば即座に襲いかかられるんじゃないかと恐ろしく思う。
と、同時に少し期待している自分もいる。
もう一度顔に血が上りそうになるのを頭を振って振払い、仕事場に戻るべくベンチから腰を上げた。
「とりあえず、今度からユーリと電話する時ははちゃんと人のいないところでしよう…」
あとがき